京都市にあるHAPS事務所一階ギャラリーを拠点として行われるALLNIGHT HAPS。2020年度は佃 七緒によるプロジェクト「翻訳するディスタンシング」を、アートと翻訳をテーマに展開します。

公募で選ばれたアーティスト5名の、制作・作品にまつわるテキストを、協力者と共に母語から別の言語へと翻訳を試みます。またそのプロセスを経たアーティストによる展覧会シリーズを2021年1月から3月にかけて開催予定。

進行中 / ongoing

「翻訳」は、人と人とが接触し、呼びかける/呼びかけられる際に生じ、何かが伝わったり伝わらなかったりする状況や関係性そのものを表出させる。他者と違うことで見えてくる「自分」や、外と違うことで見えてくる「内」は、実際にはその分け方ほど固定化されたものではなく、関与する様々な関係性が変化するとともに変化する。

ウイルスによる影響下で、「物理的に距離を取り合うこと」を「ソーシャル・ディスタンス」等と表現した状況は、これまで意識していなかった人との「距離」や「距離をとる」ということ自体に強い意識を向けさせる。社会は、その「距離」に目を強く向ける状況に徐々に適応し、変化し続けながらまた時間が過ぎていく。

本企画では、「翻訳する」ことで、異なる言葉や文化、環境、自他の間の「距離や関係が変化し続ける」ことに目を向ける機会を作家に提供し、それを作品制作にどう関わらせるのか、また関わらせないのかを見たい。

テキストの翻訳は、可能な限り、美術や翻訳を専門としない協力者と作家とのやりとりを通じて行う。そこで生じる「距離」は、協力者の「制作者ではない視点」を含みながら変化を続ける。その「互いの距離や関係が変化する」プロセスを丁寧に追いかけることで、作品を制作すること、鑑賞することの土台づくりの一助となればと思う。

2020年6月 企画者 佃 七緒

参加作家 ARTISTS

https://www.mayokoide.net/
1983年大阪府生まれ。2009年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程版画分野修了。
近年は様々な場所に赴き、場所そのものや、そこに関わりを持つ人とのやり取りを起点に「記憶」や「時間」にまつわるインスタレーション作品を制作している。主な個展に「形代ーかたしろ」(オーエヤマ・アートサイト、八木酒造/京都/2020)、「うつしがたり」(枚方市立御殿山生涯学習美術センター/大阪/2019)、「地に還るー地から足を離す」(Gallery PARC/京都/2018)、 グループ展に「生業・ふるまい・チューニング 小出麻代ー越野潤」(京都芸術センター/京都/2018)、「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2015 枯木又プロジェクト」(旧中条小学校枯木又分校/新潟/2015)、アーティスト・イン・レジデンスに「END OF SUMMER 2018」(YaleUnion/ポートランド、アメリカ/2018)など。

https://yan-a-gawa.tumblr.com/
1995年生まれ。東京都出身、神奈川県横浜市在住。美術家、映像作家。ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校第2期修了。作家自身、作家の知人 ・友人・家族、そしてふたりの間をとりもつ第3者という、3人の関係をたわいもない雑談を通して描く映像作品を主に制作。主な展示・プロジェクトに、個展「ぼくらは今のなかで」(画廊跡地、2019年)、カオス*ラウンジ「破滅*アフター」(A/Dギャラリー、2018年)、中央本線画廊/画廊跡地(2017~2019年)。

https://www.bird-park.com/
劇作家、演出家、鳥公園主宰。1985年東京生まれ。幼少期をマレーシアで過ごす。東京大学にて寺山修司を、東京藝術大学大学院にて太田省吾を研究。2007年に鳥公園を結成以降、全作品の脚本・演出を担当。「正しさ」から外れながらも確かに存在するものたちに、少しトボケた角度から、柔らかな光を当てようと試みている。『カンロ』、『ヨブ呼んでるよ』、『終わりにする、一人と一人が丘』にて岸田國士戯曲賞にノミネート。鳥公園の活動とは別に近年のプロジェクトとして、マレーシアのダンサー、振付家のLee RenXinと共にからゆきさんのリサーチなどにも取り組んでいる。2015年度よりセゾン文化財団フェロー。

https://hasegawayuki.tumblr.com/
ペインター・大阪府在住。京都市立芸術大学大学院修士課程絵画専攻油画修了後、京都の共同スタジオ「punto」を拠点に制作を行なっている。人間が、自分以外のものを取り込んできた文化・歴史を参照しながら、対象への敬意と畏れの感覚を絵画に落とし込んでいる。近年の主な活動に、2020年個展「あなたの名前を教えてほしい」(ギャラリーモーニング/京都)、ARTIST’S FAIR KYOTO:BLOWBALL punto×副産物産店+仲地志保美「Wunderkammer 」(GOOD NATURE STATION/京都)、2019年個展「VANISHING FRAGMENTS」(CLEAR GALLERY TOKYO/東京)  など。

https://murakamimiki.com/
1994年 秋田県生まれ

2017年 京都造形芸術大学 美術工芸学科 総合造形コース 卒業
2019年 京都市立芸術大学 美術研究科 彫刻専攻 修了
事故から、私と道具の関係から。本来の道具として使えなくなるもどかしさを展覧会に当てがい、うっすらと関係の無い他者を通して模索しています。そう考えるようになったのはすごく最近のことです。

企画者・HAPS・アーティスト・協力者など様々な発話・対話を随時記録していきます。

8月現在は作家とのミーティングの記録を更新中。

ALLNIGHT HAPS

若手アーティストおよび若手キュレーターの養成を目的とする、年間2名の企画者による展覧会シリーズ。HAPSオフィスの1階スペースにて終夜展示を行い、道路からウィンドー越しに観覧できる。過去アーカイブはこちら

一般社団法人HAPS

若いアーティストたちが京都のまちなかに居住し、活動し続けることができる環境を整え、彼らの新しい創作の活力をまちの活力につなげていくことを目指し、2011年9月に東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)実行委員会を設立。2019年4月に事務局を一般社団法人化。町家を改修した事務所の1階は、ギャラリーとして公開可能なスペースや、各種トークイベントやワークショップなどを開催できる貸しスペースも備える。

http://haps-kyoto.com/

佃 七緒(つくだ ななお)

美術作家。京都・大阪にて活動。それぞれの土地に住まう人々の、日々の生活を構成する道具・家具・住居などの住環境や、その中での営みの情報を取り入れ、ドローイングや、日常でなじみのある素材を用いての立体および空間制作を行う。
2019飛鳥アートヴィレッジ参加・2018シドニーArtspaceで滞在制作(京都芸術センターエクスチェンジプログラム) nanaotsukuda.com

ALLNIGHT HAPS2020

翻訳するディスタンシング

プロジェクト期間:
2020年7月~12月(翻訳のための対話)
2021年1月~3月(HAPSギャラリー展示)

企画:佃七緒

出展者:募集中(詳細は募集要項まで。)
展示時間:18:00〜9:30(翌日朝)
会場:HAPSオフィス1F
(京都市東山区大和大路通五条上る山崎町339)

主催:一般社団法人HAPS
支援:2020年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
助成:公益財団法人 朝日新聞文化財団/アーツサポート関西

一般社団法人HAPS

〒605-0841 
京都市東山区大和大路通り五条上る山崎町339
http://haps-kyoto.com/