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京都市にあるHAPS事務所一階ギャラリーを拠点として行われるALLNIGHT HAPS。2020年度は佃 七緒によるプロジェクト「翻訳するディスタンシング」を、アートと翻訳をテーマに展開します。

公募で選ばれたアーティスト5名の、制作・作品にまつわるテキストを、協力者と共に母語から別の言語へと翻訳を試み、展覧会を開催します。

LATEST NEWS

2022.10-
本企画の資料集を販売開始。
→詳細はこちら

2021.1-3
参加アーティストによる5期の展覧会シリーズを開催。


終了した展覧会(写真より詳細へ)

「翻訳」は、人と人とが接触し、呼びかける/呼びかけられる際に生じ、何かが伝わったり伝わらなかったりする状況や関係性そのものを表出させる。他者と違うことで見えてくる「自分」や、外と違うことで見えてくる「内」は、実際にはその分け方ほど固定化されたものではなく、関与する様々な関係性が変化するとともに変化する。

ウイルスによる影響下で、「物理的に距離を取り合うこと」を「ソーシャル・ディスタンス」等と表現した状況は、これまで意識していなかった人との「距離」や「距離をとる」ということ自体に強い意識を向けさせる。社会は、その「距離」に目を強く向ける状況に徐々に適応し、変化し続けながらまた時間が過ぎていく。

本企画では、「翻訳する」ことで、異なる言葉や文化、環境、自他の間の「距離や関係が変化し続ける」ことに目を向ける機会を作家に提供し、それを作品制作にどう関わらせるのか、また関わらせないのかを見たい。

テキストの翻訳は、可能な限り、美術や翻訳を専門としない協力者と作家とのやりとりを通じて行う。そこで生じる「距離」は、協力者の「制作者ではない視点」を含みながら変化を続ける。その「互いの距離や関係が変化する」プロセスを丁寧に追いかけることで、作品を制作すること、鑑賞することの土台づくりの一助となればと思う。

2020年6月 企画者 佃 七緒

2020年 6月
企画発表、参加作家公募

2020年 7月‐8月
参加作家5名決定。作家の関心等をヒアリングし、翻訳・対話協力者を企画者が検討・依頼。

2020年 9月‐12月
参加作家と協力者との、オンライン通話・メール・資料送付などのやりとりを通じて、制作の概要や関心、互いの専門範囲などを知る。タイトル・作品内のテキスト・ステイトメントなど、それぞれに適したテキストの英訳を行う。協力者との対話・翻訳の過程で、どういった「もう一言語」への翻訳を行うか、どのように行うのかを検討する。

2021年1月中旬‐3月末
HAPSギャラリーにて、参加作家5名による展覧会シリーズを行う。(個展形式・5期に分け開催)

2021年7月-
記録集製作中

参加作家

https://www.mayokoide.net/
1983年大阪府生まれ。2009年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程版画分野修了。近年は様々な場所に赴き、場所そのものや、そこに関わりを持つ人とのやり取りを起点に「記憶」や「時間」にまつわるインスタレーション作品を制作している。主な個展に「黙字」(千鳥文化/大阪/2020)、「形代ーかたしろ」(オーエヤマ・アートサイト、八木酒造/京都/2020)、「うつしがたり」(枚方市立御殿山生涯学習美術センター/大阪/2019)、 グループ展に「日日の観察者」(ANTEROOM/京都/2020)、「生業・ふるまい・チューニング 小出麻代ー越野潤」(京都芸術センター/京都/2018)、「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2015 枯木又プロジェクト」(旧中条小学校枯木又分校/新潟/2015)、アーティスト・イン・レジデンスに「END OF SUMMER 2018」(YaleUnion/ポートランド、アメリカ/2018)など。

https://hasegawayuki.tumblr.com/
ペインター・大阪府在住。京都市立芸術大学大学院修士課程絵画専攻油画修了後、京都の共同スタジオ「punto」を拠点に制作を行なっている。人間が、自分以外のものを取り込んできた文化・歴史を参照しながら、対象への敬意と畏れの感覚を絵画に落とし込んでいる。近年の主な活動に、2020年個展「あなたの名前を教えてほしい」(ギャラリーモーニング/京都)、ARTIST’S FAIR KYOTO:BLOWBALL punto×副産物産店+仲地志保美「Wunderkammer 」(GOOD NATURE STATION/京都)、2019年個展「VANISHING FRAGMENTS」(CLEAR GALLERY TOKYO/東京) など。

https://yan-a-gawa.tumblr.com/
1995年生まれ。東京都出身、神奈川県在住。美術家、映像作家。国際基督教大学卒。自身と遠く離れていると感じる人・もの・出来事を、自分と適切な距離に置き直すための作品を映像を使用して制作する。主な展示・プロジェクトに、個展「ぼくらは今のなかで」(画廊跡地、2019年)、「RAM PRACTICE 2020 – Online Screening」(オンライン、2020年)、中央本線画廊/画廊跡地(2017~2019年)。

https://murakamimiki.com/
村上美樹 MURAKAMI Miki
1994年 秋田県生まれ
2013年 秋田公立美術工芸短期大学附属高等学院 卒業
2017年 京都造形芸術大学美術工芸学科総合造形コース 卒業
2019年 京都市立芸術大学 大学院美術研究科 修士課程彫刻専攻 修了

近年の主な展覧会に、2020年「道にポケット」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA|京都、2016年「とりとめのないもの」ギャラリーマロニエ|京都、2017年「集団_展示」コーポ北加賀屋・千鳥文化|大阪、2019年「群馬青年ビエンナーレ2019」 群馬県立近代美術館|群馬などがある。
記憶をテーマに人々との対話や物の由来に関するリサーチを通して、鑑賞者と相互し合う体験の拡張の研究。 他者を含む個人的な経験や記憶の忘却、それらにまつわる物の廃棄に対する抵抗として、風景や社会的状況の中で忘れ去られた出来事や物を拾い出し、忘却・廃棄に対する抵抗を通して現れる愛着を重要な要素としながら、記憶の場となるような立体造形・インスタレーション作品の制作・発表をしている。

https://www.bird-park.com/
劇作家、演出家、鳥公園主宰。と、これまで名乗ってきたが、自分が劇作家なのか、演出家なのか、迷い始めている。1985年東京生まれ。幼少期をマレーシアで過ごす。東京大学にて寺山修司を、東京藝術大学大学院にて太田省吾を研究。2007年に鳥公園を結成以降、全作品の脚本・演出を務めてきたが、2020年より3人の演出家を鳥公園のアソシエイトアーティストとして迎え、自身は劇作・主宰業に専念する体制に移行。2015年よりセゾン文化財団フェロー。

対話・翻訳等協力者

1980年兵庫県生まれ。
大阪大学COデザインセンター特任講師(常勤)。フランス現代哲学を軸に記号論やメンタルヘルス、呪術などを研究中。最近の関心は「ダイバーシティの時代におけるマジョリティの倫理」。著書に『ジル・ドゥルーズの哲学』(2013年、人文書院)。

園芸家。東京都在住。
ブラジルのベラビスタオーキッドの日本支店として独立し、南米の洋蘭を日本やアジア各国に輸入販売している。ブラジルの自生地も探訪し、現地の野生の蘭を観察記録している。

東京都在住。筑波大学大学院生命環境科学研究科博士前期課程修了。会社員の傍らランの品種改良や栽培に取り組む。特にパフィオペディルムやアツモリソウといったランを愛好する。栽培に関しては高山性のラン栽培用にワインセラーを活用するなど、その植物に最適な環境で育てる事を信条とする。
全日本蘭協会学術委員、ラン懇話会幹事、東京山草会ラン・ユリ部会幹事。小型野生ランを楽しむ(栃の葉書房)、植物工場とラン(自然と野生ラン連載 エスプレスメディア出版)、BRUTUS特別編集珍奇植物(マガジンハウス)など著書多数。

1982年生まれ。韓国ソウル出身。日本語教育を韓国の大学で専攻。2011年に来日。現在、神戸の王子公園の近くで世界の旅人と地域をつなぐための、地域密着型「ゲストハウス萬家」を運営中。

1991年生まれ。京都市在住のフリーランス訳者、プロデューサー。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。中国語・広東語のネイティブスピーカー、日本語・英語・韓国語の使用者。言語に強い関心を持つとともに、言語を介さないコミュニケーション方法を日々研究中。

1991年 埼玉県所沢市生まれ。現在、東京大学大学院人文社会系研究科哲学専門分野博士課程に在籍中。
十七世紀の哲学者G.W.ライプニッツを中心に近世における実在の概念に着目しつつ、当時の「生きもの」観と彼の哲学の結びつきを研究している。幼い頃から他人の世界観を知りたい気持ちに溢れており、いつの間にか、300年以上前の人間の研究者になっていた。主な論文に「後期ライプニッツの有機体論—機械論との連続性および不連続性の観点から—」(日本ライプニッツ協会研究奨励賞受賞)等がある。

1983年埼玉県生まれ。2001年からバンドマン。2007年からアメリカ文学研究者にもなり、2016年から法政大学文学部英文学科専任教員にもなって現在に至る。

ダンサー/振付家
1996 年よりソロ活動を開始し、マイムからダンスへと以降しつつ、既成のテクニックではないスタイルの試行錯誤をテーマに活動を続ける。2001 年より自身の体を観察する『私的解剖実験シリーズ』始動。2018年4月からベルリンでのダンス活動を開始。同年10月にKyoto ExperimentにおいてFloating Bottle Project「点にダイブする」を上演。2020年10月、言葉の壁と格闘する作品『壁と戯れる/Mauerspiel』をFFTとKölnの日本文化館の共同企画にて上演し、12月にそれを参加型のzoomバージョンとして日独センター企画として発表。

多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業後、アシスタントを経て舞台美術家として活動。アマヤドリ、鳥公園、冨士山アネットなどの美術を手がける。2013年、文化庁の新進芸術家海外派遣制度によってドイツ・ミュンヒナーカマーシュピーレにて研修。研修後2014年から2019年まで、ブレーメン市立劇場に勤務。レパートリー作品の美術・衣装を手がける。現在はフリーランスの舞台美術・衣装家として活動中。ブレーメン在住。

ライプツィヒ大学演劇学研究所博士課程在籍。専門は演劇学、ドイツ文学。現在、ハイナー・ミュラーの劇作と能楽の触発を風景の位相から再検証する博士論文を準備中。平田栄一朗、針貝真理子、北川千香子共編『文化を問い直す』(彩流社、2021年)の第5章「〈今ここ〉からずれる風景――ハイナー・ミュラー『ハムレットマシーン』を例に」を執筆。

1982年東京生まれ。劇団FAIFAIの創立メンバーとして国内外での作品に俳優として参加。2014年よりソロでの活動を開始し『ソーシャルストリップ』を東京・横浜・北京・香港・バンコクにて上演。2015年よりイタリアに移住し以降は日本とイタリアを拠点に活動。自分や身の回りの人々の日常からつながる物語を現代のファンタジーとしてパフォーマンスに起こし上演する。主な作品に『これはすごいすごい秋』など。

Alejandra Armendariz-Hernandez
スペイン出身の日本映画研究家。
現在、マドリードのレイ・ファン・カルロス大学で博士課程に在籍中。論文では日本映画における女性映画人と女性の表象を研究。文部科学省研究生として東京の明治学院大学に留学。2017年から、ロンドンのジャパンソサエティで勤務。

企画者や作家の協力者との対話の記録等。

ALLNIGHT HAPS

若手アーティストおよび若手キュレーターの育成を目的とする、年間2名の企画者による展覧会シリーズ。HAPSオフィスの1階スペースにて終夜展示を行い、道路からウィンドー越しに観覧できる。過去アーカイブはこちら

一般社団法人HAPS

若いアーティストたちが京都のまちなかに居住し、活動し続けることができる環境を整え、彼らの新しい創作の活力をまちの活力につなげていくことを目指し、2011年9月に東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)実行委員会を設立。2019年4月に事務局を一般社団法人化。町家を改修した事務所の1階は、ギャラリーとして公開可能なスペースや、各種トークイベントやワークショップなどを開催できる貸しスペースも備える。

http://haps-kyoto.com/

佃 七緒(つくだ ななお)

美術作家。京都・大阪にて活動。それぞれの土地に住まう人々の、日々の生活を構成する道具・家具・住居などの住環境や、その中での営みの情報を取り入れ、ドローイングや、日常でなじみのある素材を用いての立体および空間制作を行う。
2019飛鳥アートヴィレッジ参加・2018シドニーArtspaceで滞在制作(京都芸術センターエクスチェンジプログラム)
nanaotsukuda.com

ALLNIGHT HAPS 2020

翻訳するディスタンシング

Translating the Distance

プロジェクト期間:
2020年7月~12月(翻訳のための対話)
2021年1月~3月(HAPSギャラリー展示)

企画:佃七緒

展示時間:18:00〜9:30(翌日朝)
会場:HAPSオフィス1F
(京都市東山区大和大路通五条上る山崎町339)

主催:一般社団法人HAPS
支援:2020年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
助成:
公益財団法人 朝日新聞文化財団/アーツサポート関西/
京都府文化活動継続支援補助金

一般社団法人HAPS

〒605-0841 
京都市東山区大和大路通り五条上る山崎町339
http://haps-kyoto.com/